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二次創作に関することを中心に後ろ向きに呟いております
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ドラゴン可愛いよドラゴンっていう話だから凄く注意。

「くそっ…!」

 ぜえぜえと息を切らせながら、龍の青年は洞窟を走り抜ける。ちらりと振り向くと、「それ」はしつこく、彼を追いかけ続けている。悲鳴をあげそうになりながら、魔法使いの龍は再び前を向いた。カバリア島に到着して三日が経過しているが、今だに右も左もわからない。島というには広すぎる。ドラゴンの耳をぱたぱたとはためかせ、重い尻尾を引きずるように、青年は走り続ける。いっそこんな尻尾なんてとってしまえと青年は思うのだが、規則上、経験を十分に積んだ者でないと尻尾をはずすことは叶わない。必死の形相で走る竜の青年を、熟練の冒険者たちがほほえましげに目で追った。

(――そんな余裕を見せていないで、助けろッ!)

 叫びたいところだが、青年の最後のプライドがそれを許さない。影のような「それ」が、間もなく自分に追いつこうとしていた。

「ま…マジックアロー!」

 振り向きざまに覚えたての魔法を放ち、僅かでも足止めになれと祈りながら、青年は必死に足を動かす。がしかし、目の前には三体ものエダックスが待ち受けていた。彼の二倍ほどの背丈のエダックスは、棍棒を振り上げ、獲物が通るのを今か今かと待ち構えている。行商のサルが何食わぬ顔をして座っているのが腹立たしい。あたりに人の姿はない。絶望だ、と青年は紫の瞳をぎゅっと閉じた。自分はここで殺されてしまうのだ。トリックスターになることもかなわずに、こんな辺鄙な場所で殺されてしまうのだ! 
 足がもつれて、前に進まない。バランスを崩して、ついに竜の青年は転倒した。痛みに顔を歪める暇もなく、「それ」が攻撃を開始する。不気味な黒い影は、怯えて目を見開いた青年を取り囲み、今まさに、一人の冒険者を己の中にのみこんでしまおうとしていた。

「ちょっと君、ふせててっ」
「!?」

 突然背後からどなり声が聞こえたかと思うと、鋭い銃声が一、二発轟いた。そして沈黙。恐る恐る顔を上げれば、「それ」が断末魔を上げながら地中に溶けてなくなっているところだった。地面にへたり込んだまま、呆然としている龍の青年の震える肩を、誰かがポンと叩いた。

「大丈夫か? このあたり、初めてアクティブなやつらが出てくるから、驚いたろ」
「………あ、ああ…」
「って君、まだ初心者さんじゃないか。ここは危ないぜ、先導してあげるから街にいこう」
「あの…あんたは一体?」

++

っていう獅子龍もえー
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