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二次創作に関することを中心に後ろ向きに呟いております
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「ゆんゆんはーつるりんのこと好きなんでしょー?」

 唐突に僕の腰に抱きついて無邪気な副隊長が尋ねてくる。僕はとりあえずそうですねと笑った。途端に今後どんな展開が、どんなことばがこの幼い隊長の口から洩れるかが容易に想像できて、吐き気を催した。胸がどくどくといやな鼓動を立てる、目の奥がちかちかしてくらくらして、なんだか死んでしまいそうで、掌にはあり得ないほどの汗を掻いていた。食道のあたりがぐるぐると締め付けられる心地がする。耳の中にザアザアと雨のようなそんな奇妙な音が流れる。やめてください。やめてください副隊長。お願いだからその先の言葉を口にしないでください。
 僕の願いもむなしく、あまりにも穢れがなくて汚らわしいほどの副隊長が、全く邪気のない顔でにっこり微笑んで言った。

「じゃあーつるりんもーゆんゆんのこと好きなのー?」

 僕は、「大嫌いですよ」とどうにか声を絞り出すと、副隊長を振り解いて走り出した。後ろもみなかった。きょとんとしているか笑顔のままの副隊長がその場に立ち尽くしているだろう情景を思い起こして涙が溢れてきた。だってそうだろう。あんまりにも滑稽じゃないか。
 斬魄刀にすら嫌われる色の瞳から、腹が立つほど透明な涙が零れ落ちてひどく醜いと思った。


浪漫ルサンチマン



一角のことを誰よりも近いのに誰よりも遠い存在だと思っている弓親の話

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「いい加減僕のこと藤孔雀って呼ぶのやめてくれない」
「君ねえ村正の能力はもう朽ちたじゃないか。定期的にそうやって具象化するのやめろ」

 言い捨て、弓親はいらいらと十一番隊舎の廊下を足早に歩く。後ろからは瑠璃色がついてゆく。すれ違う、何もしらない一般隊員が何事だと振り返った。それも気にせず、弓親はさらに速度を速めた。もちろん瑠璃色が追いつこうとしないわけがない。主と斬魄刀はもうずいぶん長いことそれを繰り返していた。弓親が瞬歩で逃げるたびに瑠璃色も同じように従い、弓親が縛道で動きを封じようとすれば鬼道で対抗する。全くもって無益な時間だと弓親は内心で舌打ちをした。

「こんなことしてて、一角に出くわしたらどうするんだ」
「良いじゃない、別に能力を見せているわけでもなし。僕は見せてもいいけどさ」
「僕が困るんだって言ってるだろうが!」
「なんだよ、怒ってるの?」
「これのどこが怒ってないんだか説明してもらいたいね――」

 急に弓親が立ち止まった。その細い背中に正面からぶつかり、形のいい鼻をこすりながら瑠璃色は主の顔を窺った。引きつって、がちがちに強張った笑顔(無理に仮面をかぶったかのような)で、弓親はいた。おや、と思って正面を見る。そして瑠璃色も、ああ、とゆっくり微笑んだ。
 大量に書類を抱えた檜佐木修兵が、失礼極まりない表情で棒のように立ちつくす弓親と、にこにこと胡散臭い笑顔で立っている瑠璃色を、交互に訝しげな顔で見ていた。

「……何してんだ、綾瀬川…と」
「ご、ごごごご機嫌麗しゅう檜佐木ふっくたいちょー!
 この子はあれですよ、あのー、死神代行の知り合いで、現世からこう、あの、」
「ああー、君が檜佐木くん? ご無沙汰してるね。
 あのときは随分うちの主のことバカにしてくれてなめてんの? って思ったけど、
 君の霊力結構甘くておいしかったからもう何でも良いや。えへっ」
「えへじゃないこのバカ!」

 弓親の鋭い足蹴りをバックステップでかわし、瑠璃色は呆気にとられている檜佐木をにやにやと見つめた。そういえば彼の斬魄刀、相当ストレスが蓄積されていてかわいそうだったっけ。連続で繰り出される主の右フックを避けながら、瑠璃色はふとあの横暴な性格の風死を思い出していた。――あのストレスは、この檜佐木とかいう男のプライドと、闘争本能がせめぎ合って出来たものに違いないよ。僕は主に腹が立つこともあるけれど、主の美学が僕の外見を美しく保ってくれているんだね。うんうんと己の中で考えがまとまり、瑠璃色は満足げに笑んだ。

「綾瀬川、お前、結局誰なんだそれは」
「な、ななななんでもないんですよー本当! 檜佐木ふくたいちょーは書類のご提出でしょーかっ」
「ねえ、話し方変だよ。もっと上から言っちゃいなよ、同じくらい強いんだから」
「黙ってろ!」
「……………。まさかとは思うが、お前、村正の事件の時に具現化した、綾瀬川の――」

 口を開きかけた檜佐木と、瑠璃色の物腰柔らかな笑顔の間を素早く弓親の目線が行き来した。それからああああとらしからぬ叫び声をあげて、びしりと人差し指で瑠璃色を差した。

「僕の友人というか、兄弟というか、親戚というか、えーと、恋人のようなものなので、気にしたら殺すから!」
「はぁ?!」

 言うが早いか、弓親は瑠璃色の手首をがしりとつかみ、そのまま姿を眩ました。残された檜佐木はしばらく狐につままれたような表情をしていたが、やがて首を振り振り、書類を抱えなおし、長い廊下を歩きだした。



ゆみちーにるりちゃんのことを恋人って言わせたかっただけの話。
思いの量だけで行くとるりちゃんのほうが大きいんだけど、ゆみちーもそれを受け入れてるといい。
なんにしろるりゆみはありだと思う(きさま)


センタープレで日本史8割取れないとだめだよって言われてイライラしながら描いた話。

「檜佐木副隊長ー」
「何だよ猫なで声だしやがって。何のようだ綾瀬川第五席」
「うっわなんですかその、格下めーみたいなそういう言い方。いっやらしい」
「………」
「いいよ僕だって最初っから猫なで声も敬語も使う気ないし。大体僕の方がちょっと年上だし」
「おれの方が立場は上だ」
「立場が上の人間が一回僕に負けたじゃん」
「あんな、てめ、卑怯な斬魄刀があるかってんだ! ふざけんな!」
「卑怯卑怯って失礼じゃない!? そんなこといったら朽木隊長のなんかチートじゃん!」
「お前そんなの大声で言ったら殺されるぞ」
「じゃあ檜佐木副隊長サマサマも訂正してよ。殺すよ?」
「………」
「困ったら無言になるのやめてほしいね。美しくないよ」
「……ああ、そうか。綾瀬川、お前は何か勘違いをしている」
「え?」
「お前は内緒にしたがっているその斬魄刀の本当の力を知っているのはお前と俺だけだ」
「…まあ、そうだけど」
「つまり状況は俺に優位ってことだ。綾瀬川、能力を斑目三席にばらされたくなけりゃおとなしくしろ」
「んなっ!? 君鬼畜だったのか!? どっちかっていうとドエムだと思ってたのにっ」
「どえっ………ま、まあいい。おとなしくする気になっただろ」
「………大人しくします」


っていう弱い弓ちゃんも可愛いと思った。

 くろさきくん、と眠る女がつぶやいた。涙に濡れた頬を蒼い月が照らす。俺はしばらくその光景をじっと見ていた。
 女は咽ぶように泣く。眠っているのか起きているのかまるで判別のつかぬ泣き方をする。ただ俺の存在に気のついていないことが、女がまだ眠りの中にあるということを示している。
 俺はどうしていいかわからなかった。溢れ出るような涙を拭ってやる術は俺にはわからぬ。全くそうであろうが。この女が涙を流さねばならぬ事態を作ったのは我々であるのだから、俺にそのようなことをする権利はない。俺には何もできぬ。
 いっそこの女が目を覚ませばいい。目を覚まして俺を見つけてはどうしてここにいるんですかと顔を赤くして文句をつければどうにでもなるのに。俺はお前が涙を零していたと教えてやることもできぬ。自分が涙をこぼしていたと悟らせたくもない。悟らせる暇を与えたくもない。

(嗚呼、)


願わくば神よ(いるのであれば)、俺がこの女をこのひと時いだくことを許したまえ。

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